角が立つステーキKnife

Story

蛸引(たこびき)包丁(写真上)は、丸まった蛸の足を切り落としやすい、主に関東で使用されていた刺身包丁。先端が尖っていないのは、短気な江戸っ子が喧嘩で使わないようにという説もあります。

関西では、柳の葉のような形をしている柳葉(写真下)の刺身包丁が一般的で、近年では、先端で細工切りがしやすいなどの理由から、この柳刃が関東も含め全国的に主流となり、蛸引の刺身包丁はあまり見られなくなりました。

良く研がれた包丁で切られた刺身を「角が立っている」と言います。そのような刺身を作るためには、刃の鋭さもさることながら、同時に蛸引包丁のような長い刃渡りも重要です。食べ物の繊維をつぶすことなく切るには、「引き切り」ができる十分な長さが必要だからです。

これはあらゆる食べ物において言えることです。そこで考案されたのが「角が立つSteak Knife」。BBQやキャンプのメインディッシュであるステーキ肉を最高に美味しく切り分けられるのがこのナイフです。是非、お試しください。

Before

線路の固定に用いられる「犬釘」を使用。

After

刃渡り24cmの両刃仕様。錆止めのため黒打ちを残した合わせ鋼。

柄の部分に犬釘を使用。錆止め加工。

刀匠「宗秋」の刻印。

Artisan

八重樫打刃物製作所 4代目刀匠「宗秋」 伝統工芸士 八重樫 潤一さん

八重樫打刃物製作所は、刀匠の流れをくむ鍛冶屋。東京には江戸打刃物と東京打刃物の二つの鍛冶があるが、東京打刃物は明治以降に発展し、主に鋏をつくってきた。八重樫打刃物製作所は、江戸打刃物の鍛冶屋。当代の八重樫宗秋さんも、刀匠宗秋(むねあき)の四代目を名乗る。コークスの赤い炎が揺れる工房では、宗秋さんと叔父、二人の若い弟子が鎚をふるう。

八重樫打刃物製作所では「総火造り」という伝統製法を主としており、料理人が使う和包丁、大工の使う鑿(のみ)、鉋(かんな)、理容師が使う剃刀、先端産業の工場で使われるバイトまで高い性能が求められるプロユースの様々な道具がつくりだされている。

当代が尊敬するのは、明治から昭和にかけて数々の名品名作を遺した道具鍛冶、千代鶴是秀(ちよづる・これひで)。千代鶴のように、よく切れ、仕上げが丁寧な美しい道具をつくりたいと願う当代。その切れ味と使い勝手の良さを聞きつけ、全国各地から様々な刃物の注文が舞い込んでいる。